「社保の窓口 ソロコンシェルジュ」で検索する個人事業主(フリーランス)の多くは、国民健康保険料の負担を下げたくて、2つの社会保険加入サービスを見比べています。ただ、この2つは同じ土俵に並ぶサービスではありません。片方はすでに新規受付を確認できず、もう片方は仕組みそのものが異なります。
比較の前に、両者がいまどういう状態にあるのかを事実として押さえておくと、選択を誤りません。公的な一次情報とサービス側の公表内容で裏づけられる事実をもとに、両者の違いと加入前の注意点を整理します。
社保の窓口とソロコンシェルジュ、いま比較するとどうなるか

結論から言うと、この2つは今から新規で申し込める比較ではありません。
社保の窓口は、個人事業主(フリーランス)を法人の役員として社会保険に加入させる役員型のサービスとして紹介されてきましたが、複数の媒体が2026年3月に終了したと報じており、公式サイトでも新規受付を確認できない状態です。一方のソロ・コンシェルジュは、利用者を正社員として雇用する従業員型を掲げ、2026年7月時点でも申込みを受け付けています。
つまり、実際に検討できるのはソロ・コンシェルジュ側に寄っているのが現状です。それでも両者を並べて理解する意味は大きく、理由は次のとおりです。
- 社保の窓口が姿を消した背景には、2026年3月18日の厚生労働省通達があり、同じ役員型のサービス全般に関わる
- ソロ・コンシェルジュが掲げる従業員型は、その通達が問題にした役員型とは構造が違う
- なぜ一方が残り一方が消えたのかを理解することが、加入形態で選ぶという考え方につながる
以下では、両者の仕組みの違い、それぞれについて確認できること・できないこと、料金や継続性の見比べ方、そして加入前に押さえたい注意点を順に見ていきます。
2つのサービスの基本|役員型と従業員型はどう違う

社保の窓口とソロ・コンシェルジュは、どちらも「個人事業主(フリーランス)が会社員と同じ健康保険・厚生年金に加入できる」とうたう点では共通しています。違いは、何の立場でその法人に所属するかです。
共通する仕組み:国保・国民年金から社保へ
通常、個人事業主(フリーランス)は国民健康保険と国民年金に加入します。国民健康保険料は前年の所得に応じて上がるため、所得が高い人ほど負担が重くなります。
この種のサービスを使うと、加入先が協会けんぽ(健康保険)と厚生年金に切り替わると説明されます。これらの保険料は所得ではなく報酬月額の等級で決まるため、所得が高い人ほど削減効果が大きいと案内されるのが一般的です。扶養家族を追加の保険料負担なく加入させられる点も、共通して挙げられるメリットです。
違いは「役員」か「従業員」か
- 役員型(社保の窓口が採ってきた形)
法人の理事・役員などの立場で所属し、社会保険に加入する。登記簿に名前が載る場合があり、役員としての実態(経営への参画)を問われやすい - 従業員型(ソロ・コンシェルジュが掲げる形)
法人と雇用契約を結び、正社員として社会保険に加入する。登記簿には載らず、労働者としての実態(勤務・報告など)が前提になる
この「役員か従業員か」という違いは、単なる呼び方の差ではありません。次章で見る2026年3月の厚労省通達が、まさに役員型のお金と実態のあり方を判断基準にしたため、両者の明暗を分ける要因になりました。
社保の窓口について確認できること・できないこと

社保の窓口は、指名検索で「終了」「HP消滅」といった言葉と一緒に表示されることが多いサービスです。ここは事実と、事実でないかもしれないことを分けて見る必要があります。
確認できること
- 社保の窓口は、個人事業主(フリーランス)を法人の役員等として社会保険に加入させる役員型のサービスとして各所で紹介されてきた
- 複数の解説・比較媒体が、社保の窓口は2026年3月に終了した(2026年3月19日終了とするものがある)と報じている
- 2026年7月時点で、公式サイトに新規申込みの導線を確認できない
確認できないこと
- 終了を告げるサービス提供者自身の公式告知文を、公開情報の範囲では一次情報として確認できない
- 終了日や、既存利用者への対応内容を断定できる一次情報がない
- 「遡及請求は最大◯◯万円」といった、外部記事が掲げる金額の裏づけ
終了時期や退会条件を断定的に書いた記事の多くは、別のサービスへの乗り換えを勧める導線を持っています。現在の提供状況や自分の資格を確定できるのは、契約者本人が受け取った通知と、加入先の実施機関だけです。社保の窓口を利用していた人は、外部の記事ではなく、手元の会員通知と保険者への確認を起点にするのが確実です。
ソロ・コンシェルジュの仕組み・料金・特徴

ソロ・コンシェルジュは、2026年7月時点で申込みを受け付けている従業員型のサービスです。以下はサービス側が公表している内容で、いずれもサービス側の説明であり検証した数字ではないため、契約前に公式の最新情報を確認することが前提になります。
加入形態は「正社員としての雇用」
ソロ・コンシェルジュは、利用者が運営会社と雇用契約を結び、正社員として社会保険に加入すると説明しています。役員ではないため登記簿に名前が載らず、情報収集業務や勤怠報告といった労働の実態を通じて雇用条件を満たす形をとる、とされています。
料金は「会費」と「受取給与」の差で示される
公式が示す料金は、会費を支払い、そこから給与を受け取る構造です。
- 会費:月49,500円
- 受取給与:月約5,548円
- 実質の月額負担:約44,000円(会費から給与を差し引いた額)
- 入会・退会の手数料は無料と説明されている
この実質負担が、国民健康保険料・国民年金と比べて得かどうかは、前年所得・家族構成・自治体によって変わるため、一律には決まりません。
扶養と福利厚生
家族を扶養に入れられる点が、メリットとして挙げられています。加えて、独自の福利厚生が案内されています。
- 扶養
配偶者や子どもを扶養に入れることで、家族分の国民健康保険料の負担がなくなるケースがあるとされる - 福利厚生
誕生日手当(5,000円)、健康診断補助(上限5,000円)、予防接種補助(上限3,000円)、友人紹介手当(1人につき月5,000円)などが案内されている
ただし、従業員型であっても労働の実態が伴うことが前提です。次章で見るとおり、加入形態にかかわらず、実態が問われる点は共通しています。
料金・加入形態・継続性で見比べる

両者を並べるときは、月額の数字だけでなく、加入形態から来るリスクと継続性まで含めて見ると判断を誤りません。
- 加入形態
社保の窓口は役員型、ソロ・コンシェルジュは従業員型。登記簿への記載や、問われる実態の中身(経営参画か、労働か)が異なる - 月額の考え方
金額の多寡だけでなく、会費・受取報酬・実質負担の内訳を書面で確認する。国保・国民年金の現状負担と比べて初めて損得が分かる - 継続性
社保の窓口のように、新規受付を確認できなくなるサービスもある。社会保険は長く使い続けるものだからこそ、運営の実績・情報開示・継続性は料金以上に重い - 脱退のしやすさ
サービスが使えなくなったときに、自分で国保・国民年金へ戻す手続きが生じる。入退会の条件を事前に確認しておく
数字の比較は入り口にすぎません。加入形態のリスクと継続性が違えば、同じ月額でも意味は変わるため、数字だけでは選べません。
得な人・損な人と、加入前に確認したい注意点

社会保険加入サービスは「入れば誰でも安くなる」ものではなく、得をする人と、かえって損をする人が分かれます。
切替が向きやすい人・向きにくい人
- 向きやすい目安:国民健康保険料と国民年金の負担がすでに高く、扶養に入れたい家族がいる
- 向きにくい目安:独立初年度などで国保料がまだ安い、すでに勤務先で社会保険に加入している、iDeCoや小規模企業共済の所得控除をフル活用している
自分がどちらかは、国保・国民年金の現在の負担額と、サービスの実質負担を並べて初めて分かります。
加入形態を問わず「実態」が判断基準になる
2026年3月18日、厚生労働省は「法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて」という通知(保保発0318第1号・年管管発0318第1号)を出しました。役員として届け出ながら、当人から役員報酬を上回る会費等を支払わせている事業所を念頭に、実態のない加入は本来の対象に戻り得るという考え方を示したものです。
出典:厚生労働省 報道発表(令和8年3月18日)/通知本文(PDF)
この通知が直接の対象としたのは役員型ですが、押さえておきたいのは、従業員型であっても、実際に働いている実態がなければ資格は問われ得るという点です。加入形態が役員か従業員かにかかわらず、資格を支えるのは肩書きではなく実態だという原則は変わりません。加入できたこと自体は、適法や安全の証明にはなりません。
資格を失った場合に本人へ及ぶこと
万一、実態がないと判断されて資格を失った場合、原則として国民健康保険と国民年金に戻ります。健康保険の資格取得・喪失は14日以内に市区町村へ届け出るのが原則で(厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」)、切替の空白期間に医療機関にかかると窓口でいったん全額を立て替えることになります。届出も立替えも、負うのはサービス提供者ではなく加入者本人です。
自分で確認して選ぶ手順

外部の比較記事やランキングをいくら読み比べても、自分にとっての損得と安全性は確定しません。確認の起点は、他人の記事ではなく一次情報に置くのが確実です。
- 手順1:現在の負担額を出す
国民健康保険料・国民年金の年額を、自治体の通知や国保料の試算で把握する。これが比較の土台になる - 手順2:サービスの内訳を書面で確認する
会費・受取報酬・実質負担・入退会条件を、口コミではなく公式資料で確認する。金額は年齢・家族構成・年度で変わる - 手順3:加入形態と実態を照らす
役員型か従業員型か、そして自分にその実態(経営参画か労働か)を無理なく作れるかを考える。実態を作れないなら、加入形態にかかわらずリスクが残る - 手順4:継続性と脱退のしやすさを見る
運営の実績・情報開示に加え、使えなくなったときに国保・国民年金へ戻す手続きの負担も見込んでおく
社保の窓口とソロ・コンシェルジュの比較は、「どちらが安いか」を超えて、加入形態のリスクをどこまで受け入れられるかという問いに行き着きます。役員型が通達後に姿を消した一方で従業員型が残った事実は、料金よりも実態と継続性が選択の芯になることを示しています。数字の安さだけでサービスを選ぶのではなく、負担額・実態・継続性という一次情報に立ち返って判断することが、後悔しない選び方につながります。
