フリーランス社会保険料計算|個人事業主(フリーランス)の国保・年金シミュレーション

フリーランス社会保険料計算を解説する個人事業主(フリーランス)向け図解

個人事業主(フリーランス)の社会保険料を計算するときは、売上へ一定の割合を掛けるのではありません。市区町村の国民健康保険に加入し、20歳以上60歳未満で国民年金の第1号被保険者となる一般的なケースでは、国民健康保険料と国民年金保険料を別々に求め、最後に合算します。必要なのは、前年の所得、自治体の最新料率、国保の加入人数と年齢、加入月数です。ここでは2026年7月31日時点の制度を前提に、毎年度変わる金額を固定せず、公式情報を使って再計算できる手順を示します。

フリーランスの社会保険料は売上に率を掛けるんですか?
違うのじゃ。国保と国民年金を分けて計算するぞ

社会保険料計算は国保と年金を分ける

フリーランス社会保険料計算:社会保険料計算は国保と年金を分けるを解説する個人事業主(フリーランス)向け図解
社会保険料は国保と年金を足せばよいんですか?
一般的な独立者はそうじゃ。加入制度を先に確かめるぞ

フリーランスの社会保険料計算では、まず加入制度を確定します。会社の健康保険・厚生年金に加入していない個人事業主(フリーランス)のうち、日本国内に住む20歳以上60歳未満で第2号・第3号に当たらない人は、一般に市区町村の国民健康保険と国民年金の第1号被保険者として保険料を負担します。ただし、家族の被扶養者、退職後の任意継続、国民健康保険組合、法人の役員などは計算方法が異なります。

合計額は2制度の年間額を足す

20歳以上60歳未満で国民年金の第1号被保険者となる一般例の基本式は、年間社会保険料=年間国保料+年間国民年金保険料です。国保は前年所得・自治体・年齢・世帯で変わり、国民年金は年度ごとの定額を加入月数に応じて計算します。

  • 国民健康保険料
    世帯単位で算定され、加入者ごとの所得に応じる部分と人数に応じる部分を合計する
  • 国民年金保険料
    日本年金機構が公表する年度ごとの月額に、納付対象月数を掛ける

介護保険の第2号被保険者に当たる40〜64歳の国保加入者は、国保の介護納付金分も加算されます。こども家庭庁の制度案内にあるとおり、2026年度からは国保に子ども・子育て支援金分も加わりました。自治体の2025年度以前の計算ページを使うと、この項目が抜けるおそれがあります。

金額目安と計算方法を分ける

年収別の負担感を知りたい場合は「個人事業主(フリーランス)の社会保険料はいくらか」の目安が参考になります。一方、フリーランスの社会保険シミュレーションを自分の条件で行う場合は、居住自治体の当年度の計算表が出発点です。

国民健康保険料の計算式

フリーランス社会保険料計算:国民健康保険料の計算式を解説する個人事業主(フリーランス)向け図解
2026年度時点の国保は何を合計するんですか?
4区分の所得割と均等割を自治体の料率で求めるのじゃ

国民健康保険料は、市区町村の条例に基づいて世帯単位で決まります。厚生労働省の国民健康保険料の説明は、被保険者ごとの応能分と応益分を計算して合計する仕組みを示しています。実務では、自治体の計算表にある区分ごとの所得割と均等割を順番に求めます。

2026年度時点の4区分を確認する

2026年度時点では、自治体の計算表で、医療分・後期高齢者支援金分・介護分・子ども分を確認します。介護分は40〜64歳の加入者が対象です。子ども・子育て支援金分の料率や負担方法も市区町村ごとに異なります。

  • 医療分
    国保の医療給付に充てる区分
  • 後期高齢者支援金分
    後期高齢者医療制度を支える区分
  • 介護納付金分
    国保に加入する40〜64歳の人について加算する区分
  • 子ども・子育て支援金分
    2026年度から医療保険料とあわせて負担する区分

各区分には年度ごとの賦課限度額があります。所得割と均等割を計算した後、区分ごとに上限を適用し、最後に4区分を合算します。

所得割は売上ではなく前年所得から求める

所得割の入力は売上高や入金額ではありません。個人事業の売上から必要経費を差し引き、青色申告特別控除などを反映した前年の事業所得を含む「総所得金額等」を確認します。そこから自治体の計算表に示された基礎控除額を差し引いた金額が、一般に算定基礎額です。

  • 算定基礎額=前年の総所得金額等−自治体の計算表に示された基礎控除額
  • 所得割=算定基礎額×当年度の所得割率
  • 均等割=当年度の1人当たり額×対象となる国保加入者数
  • 年間国保料=各区分の所得割+均等割などを合計し、区分ごとの上限を反映した額

基礎控除額は合計所得により変わる場合があります。また、所得税で使う社会保険料控除や扶養控除などを、そのまま国保の算定基礎額から差し引く計算ではありません。自治体の「総所得金額等」と「算定基礎額」の定義を確認する必要があります。

国民年金保険料の計算式

フリーランス社会保険料計算:国民年金保険料の計算式を解説する個人事業主(フリーランス)向け図解
国民年金も前年所得で変わるんですか?
変わらぬぞ。当年度の定額に対象月数を掛けるのじゃ

国民年金保険料は、前年所得に料率を掛ける方式ではありません。日本年金機構が公表する2026年度の国民年金保険料月額など、計算対象年度の定額を使うため、国保とは別に計算します。

当年度の月額に対象月数を掛ける

20歳以上60歳未満で国民年金の第1号被保険者となる人の基本式は、年間国民年金保険料=当年度の月額×納付対象月数です。4月から翌年3月まで12か月加入する場合は12を掛け、年度途中で厚生年金から国民年金の第1号へ変わった場合は対象月だけを数えます。

  • 月額は日本年金機構の当年度ページで確認する
  • 付加保険料を納める場合は、その月数分を別に足す
  • 前納を選ぶ場合は、単純な月額×月数ではなく公式の前納額を使う
  • 免除・納付猶予が承認された期間は、承認内容に応じた実際の納付額で集計する

国民年金保険料は毎年度見直されます。古いシミュレーションの月額を流用せず、計算対象年度と加入月を一致させることが大切です。

夫婦はそれぞれの加入区分を確認する

夫婦がともに国民年金の第1号被保険者なら、定額保険料は2人分です。一方、一方が厚生年金に加入している場合や、国民年金の第3号被保険者に当たる場合は計算が変わります。国保の世帯人数と国民年金の納付人数は、同じとは限りません

単身・40歳未満の計算例

フリーランス社会保険料計算:単身・40歳未満の計算例を解説する個人事業主(フリーランス)向け図解
単身の国保はどんな順番で計算するんですか?
算定基礎額、所得割、均等割の順に求めるのじゃ

計算の流れを確認するため、2026年度時点の制度構造を前提に、架空の自治体Aに住む40歳未満の35歳・単身(国保加入者1人、国民年金第1号)で、両制度とも12か月加入する例を使います。以下の料率と均等割額は計算練習用の仮定値で、実在自治体の値ではありません。

算定基礎額を求める

前年の総所得金額等を事業所得のみで300万円、自治体Aの計算表にある基礎控除額を43万円と仮定します。算定基礎額は、300万円−43万円=257万円です。

  • 医療分:所得割率7.0%、均等割4万5,000円
  • 後期高齢者支援金分:所得割率2.5%、均等割1万7,000円
  • 子ども・子育て支援金分:所得割率0.2%、均等割2,000円
  • 35歳のため介護分は加算しない

仮定した所得割率の合計は9.7%、均等割の合計は6万4,000円です。したがって、所得割は257万円×9.7%=24万9,290円、年間国保料は24万9,290円+6万4,000円=31万3,290円となります。この仮定では計算途中に1円未満の端数は生じません。実際には自治体所定の端数処理と賦課限度額も反映します。

国民年金を足して年間額にする

日本年金機構で確認した対象年度の月額をP円と置くと、12か月分はP×12円です。この例の年間社会保険料は、31万3,290円+P×12円と表せます。

金額を確定する際はPへ計算対象年度の公式月額を入れます。国保に実在自治体の当年度料率を入れ、国民年金に対象年度の月額を入れれば、個人事業主の社会保険料シミュレーションを年度が変わっても同じ手順で更新できます。

年齢・世帯人数で計算を調整

フリーランス社会保険料計算:年齢・世帯人数で計算を調整を解説する個人事業主(フリーランス)向け図解
年齢や家族の人数でも金額が変わるんですか?
変わるぞ。介護分と加入区分を1人ずつ確認じゃ

単身・40歳未満の例をそのまま家族世帯へ使うことはできません。国保加入者の年齢と人数、国民年金の加入区分を1人ずつ確認します。

40〜64歳は介護分を追加する

例の本人が45歳で、自治体Aの介護分を所得割率2.0%・均等割1万8,000円と仮定すると、介護分は257万円×2.0%+1万8,000円=6万9,400円です。40歳未満の国保料31万3,290円に足すと、年間国保料は38万2,690円になります。

年度途中で40歳になる場合の月割りや賦課時期は自治体の案内に従います。年齢だけで年間全額を機械的に足さず、対象月の扱いを確認します。

国民年金の強制加入は原則20歳以上60歳未満です。60歳以上65歳未満は、受給資格期間が不足する場合や満額へ近づけたい場合などに条件を満たして任意加入した人だけ、加入月分の国民年金保険料を足します。また、65歳以上は介護保険の第1号被保険者となるため、市区町村が徴収する第1号保険料を、国保の介護納付金分とは別に計算します。

国保は加入者ごと、年金は区分ごとに数える

国保には会社の健康保険のような無料の被扶養者制度がありません。世帯に国保加入者が増えると、対象者分の均等割が加算され、所得がある加入者については所得割も加わります。

  • 国保の人数
    同じ世帯でも、勤務先の健康保険や後期高齢者医療に入る人は国保人数から外す
  • 介護分の人数
    国保加入者のうち40〜64歳の人と、その人の算定基礎額を対象にする
  • 国民年金の人数
    20歳以上60歳未満で第1号となる人を基本に、60歳以上65歳未満は任意加入の有無も個別に確認する

子ども分の所得割・均等割の対象年齢や軽減の扱いは、自治体の当年度計算表で確認します。世帯人数だけを一括で掛けないことが計算ミスを防ぎます。

シミュレーションが通知書とずれる理由

フリーランス社会保険料計算:シミュレーションが通知書とずれる理由を解説する個人事業主(フリーランス)向け図解
概算が国保の通知書とずれるのはなぜですか?
軽減・上限・月割り・端数処理を見直すのじゃ

式が合っていても、概算と国保の決定通知書が一致しないことがあります。多くは入力年度、軽減、上限、月割り、端数処理のいずれかです。

前年所得と加入年度がずれている

国保は当年の売上ではなく、原則として前年の総所得金額等を使います。独立初年度に売上が下がっても、前年の会社員給与などが反映されると試算より高くなる場合があります。何年分の所得を使うかを通知書とそろえます。

軽減・上限・月割りを反映していない

所得基準を下回る世帯には、国保の応益割を7割・5割・2割減額する法定軽減があります。未就学児の均等割軽減、災害など特別事情による減免、各区分の賦課限度額もあります。

  • 年度途中の加入・脱退を月割りしているか
  • 40歳到達など年齢による介護分の対象月を反映したか
  • 所得未申告で軽減判定ができない状態になっていないか
  • 自治体所定の端数処理を区分ごとに行ったか
  • 所得割・均等割以外の平等割などを採用する自治体では、その項目を足したか

国民年金側では、前納、付加保険料、免除・猶予、厚生年金との切替月で差が生じます。オンラインの個人事業主向け社会保険計算ツールは概算に便利ですが、自治体固有の全条件に対応しているとは限りません

正確な社会保険料を確認する手順

フリーランス社会保険料計算:正確な社会保険料を確認する手順を解説する個人事業主(フリーランス)向け図解
正確な計算には何をそろえるんですか?
前年所得、料率、年齢、人数、月数の5つじゃ

正確な金額へ近づけるには、入力値を先にそろえ、国保、国民年金、通知書の順に照合します。

5つの入力を準備する

  • 前年の総所得金額等
    確定申告書の控えと自治体が示す対象所得の説明を照合する
  • 自治体の当年度料率
    医療分・支援金分・介護分・子ども分の所得割、均等割、上限を確認する
  • 国保加入者の年齢と人数
    加入制度と対象月を1人ずつ分ける
  • 国民年金の加入区分と月数
    日本年金機構の当年度月額、前納、付加、免除の有無を確認する
  • 軽減・減免の適用
    所得申告を済ませ、自治体の判定や申請要件を確認する

計算後は、居住自治体の公式シミュレーターや概算表で国保の概算を確認します。たとえば新宿区は、所得と世帯人数で確認できる2026年度の公式概算早見表を公開しています。次に日本年金機構の当年度保険料と対象月数を照合し、最後に実際の決定通知書と比べて、差があれば区分別の所得割・均等割・月割りをたどります。

フリーランスの社会保険料計算で重要なのは、最新の公式値へ置き換えられる式を残すことです。前年所得、自治体料率、年齢、世帯人数、加入月数を分ければ、年度や生活状況が変わっても同じ手順で計算できます。


国保と国民年金を分け、当年度の公式値と加入条件をそろえることで、個人事業主(フリーランス)の社会保険料を再現性のある形で確認できます。

公式値へ置き換えられる式なら毎年度使えるのじゃ
国保と年金を分けると計算が明確になるんですね!
目次
目次